謙虚さという幸福

「能力と知識において賢くある秘訣は、謙虚でいることである。」
                           アーネスト・ヘミングウェイ

 人生には多くの恵みがある。その恵みを受けとるか受けとれないかは「謙虚であるかどうか」にかかわっている。謙虚さは人生を楽しくする。謙虚な人は幸福である。
「謙虚=humility」という言葉の語源は、ラテン語の「humilis」から来ている。それは「腐葉土」という意味だ。謙虚さを失わなければ、私たちは豊かな土壌からいくらでもお恵みを得ることができる。謙虚な人は人生の目的を取り違えずにすむ。大事なことはなんなのか、いつもその事を気にとめ、丁重に生きている。

耳を澄ますこと。相手の想いを聞き取り、沈黙の中で共感を示すこと。自分が話したいという欲求を抑え、人に心を開くこと。受け入れ、寄り添い、敬うこと。謙虚さが人間関係を豊かにし、友情の価値を高めてくれる。

素朴で誠実な笑顔は人の心を開く。どんな出会いも、より豊かなものにしてくれる。笑顔は苦い会話や関係すらも変えてしまう。

感謝の気持ち。小さな自分にこだわっていると、素直に感謝することができなくなる。謙虚さと感謝は一体である。自分にとらわれることなく人を認める気持ち。謙虚な人は感謝を忘れず、幸福を味わう心の土壌をさらに豊かにしていく。

触れ合い。謙虚さから生まれてくる思いやりの行動。言葉では伝えられない人の温もりを、触れあいは人に与えてくれる。飾りのない素肌から生まれる本質的な心の安らぎ。

沈黙し、邪魔をしないこと。望まれてもいないのに人の問題に立ち入ったり、人を救おうとしたりするのではなく、そっとしておくこと。誰にでも、時には静寂や孤独が必要なのだということ。

人の恵みを大切に育てていく人は、時とともに人との関係を輝かせていく。時が経てば経つほど人生は美しくなっていく。

                                     「人生の贈り物」 アレックス・ロビラ