剱岳
R6(2024).10.10
(つるぎだけ)
2,999m
富山県富山
剱沢キャンプ場 | 7:00 | 剣岳山頂 | 10:47 | 剱沢キャンプ場 | 14:47 |
室堂ターミナル | 雷鳥荘 | 雷鳥沢キャンプ場 | 剱御前小舎 | 剱沢キャンプ場 | 剱沢小屋 | 剣山荘 | 一服剱 | 前剱 | 剱岳 | |
高度 | 2428m | 2362m | 2260m | 2752m | 2525m | 2462m | 2480m | 2618m | 2813m | 2999m |
距離 | 1.4km | 2km | 3.6km | 4.6km | 5km | 5.6km | 6.1km | 6.7km | 7.6km |
これでえす!(色は違うけど・・・)
重さは6kgといつものテントより3倍近く重いのですが
二人で運んだらそれほど気になりません。
それよりも
前室の充実さと頑丈さが気に入りました。
加えてほとんど新品の状態!
お山が終わったらリサイクルショップに売ろうかと思っていたのですが
これを「TSURUGI」と名づけてわたしんちのベーステントにすることにしました!
ようし
これで「剱岳」にいけるぞ!
立山駅の駐車場に車を停め 10月9日(すでに曜日はわからなくなっています) 雨の朝6:20 ザックを背負って駐車場を出発しました。 |
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Web予約ができなかったので 切符売り場に並びました。 平日だというのに すでにこれだけの人が並んでいました。 |
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7:10のケーブルカーに乗ることができ すごい傾斜を美女平に向けて登っていきます。 |
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美女平からは室堂に向けて高原バスに乗り込みます。 | |
巨大な杉や立山の景観などが見られるはずだったのですが ずっと雲がかかっていて真っ白い高原でした。 |
そして 8:40
国立公園立山の室堂に到着しました!
室堂は
「点の記」に何度も出てくる場所です。
ここにテントを張って雄山(立山)や別山などに登頂していたところで
どんな場所なのかものすごく興味がありました。
例年10月の中旬から最近は下旬の季節に降雪があり
白い季節に移るのだそうです。
昭和の初めには10月の初旬に降雪による遭難事件も起こっていて
厳しい場所だというイメージがありました。
現在は室堂ターミナルが整備されていて
ホテルもきれいで紅葉を楽しむ観光地になっています。
いくぜ!
室堂から遊歩道を歩いて10分 みくりが池 です |
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正面に 剱御前岳が見えます。 その右のコルが別山乗越(峠)で これから超えていく峠です。 |
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先ほどのみくりが池も火口湖だったのですね。 今も火山が活動していて辺りに硫黄ガスの臭いがしていました。 |
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この景色が見たかった。 久しぶりの山。行けるかなぁ。 不安と山に登れる幸せ |
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9:54 雷鳥沢キャンプ場を過ぎて 別山乗越への登山道に入ってきました。 |
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振り返って雷鳥沢カールを見ると 秋の紅葉が広がっていました。 週末は大勢の観光客でにぎわいそうです。 |
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11:00 出発から2時間20分 岩場がむき出しになってきて乗越まで近いことを知らせてくれました。 |
こんなかんじ
能登での一週間トレーニングできなかったから結構心配だったのですが
山の足は残っていました。
たのしー
11:20 別山乗越にある剱御前小舎到着です。 ほとんどの山小屋が閉鎖している中 剱岳へのルート上の小屋はここが最後の営業小屋でした。 |
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この小屋の脇を抜けて下降し 剱沢へ向かいます。 |
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11:44 ちょっと緊張する岩場です。 |
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11:48 高度を下げ植生がかわってきました。 |
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12:00 足元が安定し始め そろそろ剱沢かと思うのですが 周りが霧に包まれ視界がふさがって景色が見れません。 |
12:33
白い景色の中剱沢キャンプ場に到着しました。
着いた時は岩場の陰に小さなテントが張ってある以外は誰もいないキャンプ場でした。
前日に手に入れたコールマンのテントを張って昼食を食べ
15:40
ようやく人心地つくことができました。
テントを立てた途端、土砂降りの雨。
一気に気温が下がりました。
大丈夫かなぁ。
でも、テントの中は温かい。。。。
テントの前室から見える景色です。 剱沢が広がり 別山の稜線が見えています。 この頃には10張り程度のテントが立っていました。 |
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16:22 剱沢から剱岳を望むことができます。 前剱から剱岳まで雲がかかっていました。 |
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テントの中は居心地のよい空間です。 二人用とは思えないほどの広い空間でした。 今回の秘密兵器 ジェットボイルが吊るされています。 |
17:00
雲が流れて
前剱と剱岳が姿を現しました。
かっこいい!
夕日で山が焼ける壮大なドラマを楽しんだら
そこから長い夜が始まりました。
剱沢小屋が10月5日に閉鎖しているのでお酒も追加できず
することもなく18:00には寝袋に入りました。
気温はどんどん降下しダウンの寝袋の隙間から冷気が入ってきます。
しんしんと冷えて、眠れない。
でも、寝なきゃ。
体を横にするだけでも。
夜中に満を持して、一回だけトイレに行きました。
星空が本当にきれいでした。
でも、雪のような霜がびっしり。
水たまりは凍っていて、氷点下になっているのがわかりました。
寒いはずです。
早朝というには早すぎる13時過ぎには辺りのテントから起きだす音がし始め
山屋の朝が始まりました。
我々は明るくなってゆっくりと出発する予定だったので
がんばってがんばって
5:00まで寝袋にいました。
まだまだ暗い中我慢できずに起きだすと
正面の剱岳が少しずつ姿を現し始めました。
そして5:55
昨日の夕方とは反対の山肌が赤く燃え始め始めました。
朝焼けです。
動画へリンク
少しずつ、少しずつ、山が焼けていくのをじっくり眺められる幸せ。 |
さあ
剱岳への登山が始まります。
朝焼けの剱岳を見た後 朝食と登山の準備を始めました。 |
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7:12 ヘルメットを装着して剱沢を出発します。 |
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7:30 剣山荘手前から剱沢小屋を振り返りました。 あと一週間早かったら この小屋でうまいビールを飲むはずだったのですが 10月5日に小屋じまいをしていてすでに冬支度でした。 この剱沢小屋は昭和5年の1月に剱御前方向からの雪崩で押しつぶされ、6人の大学生を巻き込む遭難事件の場所となっています。 冬の剱沢は雪崩の巣窟なようです。 |
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剱沢が剱沢雪渓まで深く切れ込んでいます。 「点の記」では この沢を下って剱岳につながる源次郎尾根を越えて 長次郎沢から剱岳を登頂したようです。 |
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7:45 剣山荘に到着しました。 |
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剣山荘も冬支度を終えひっそりとしていました。 | |
剣山荘の裏手を左から回り込み 一服剱に至る登山道に取り付きます。 基本的にガレ場と岩場で足元は相当不安定です。 |
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8:07 剣山荘を離れて15分で最初の鎖場に到達します。 ここはまだ鎖を頼るほどの岩場でもなく 高度感もありません。 |
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鎖場を越えるとこのようなガレ場が続きます。 | |
8:18 第2の鎖場を越えると一服剱です。 |
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8:20 一服剱に到着しました。 前剱に至る小ピークで ここから見える前剱は壮観でした。 |
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一服剱から東大谷を見下ろすと その先に富山湾を望むことができました。 |
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8:40 一服剱から武蔵コルという鞍部まで下りると このような注意標識が岩に打ち込まれていました。 立山ターミナルの登山センターでも 「一番事故の多いところは前剱から一服剱に向かう下りです。くれぐれも足元に注意して進んでください。」 と指導を受けたところです。 |
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8:46 前剱に至るガレ場から一服剱を振り返りました。 一服剱を含めて別山尾根が続き 剱御前と別山が望めました。 その二つの山の間のコルが我々が超えてきた別山乗越です。 |
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9:13 第4の鎖場です。 ここを越えると前剱です。 |
前剱山頂です。
この奥に雄々しくそびえるのが剱岳です。
一体どこを登っていくのだろうと山頂までのルートがイメージできません。
前人未到の山と呼ばれていた理由がわかります。
9:35 これは怖い こういう岩場を越えていかないと次のステージに進めません。 |
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手をつくところがない一本橋です。 地味に怖かった・・・ |
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9:48 何度も鎖場が続きます。 |
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低木(ダテカンバ?ハイマツ?) が思い出したように出てきます。 「点の記」では こういう木を食事をする燃料にしていたようです。 |
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10:04 急峻な岩場が連続して現れます。 目の前の行く手を阻むような岩が「平蔵の頭」です。 なぜ「平蔵の頭(かしら)」なのか ここは平蔵沢という沢の突端だからです。 平蔵さんが沢を登り詰めたのでしょうね。 |
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10:08 7番鎖場「平蔵の頭」を登っていきます。 |
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自分が登っているときは夢中なので分からないけれど、 相棒が登っているのを見ると すごい!! と思います。 |
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10:17 8番鎖場「平蔵のコル」です。 鎖のない岩場のトラバースですが 雨でぬれていると難易度が増すことに間違いありません。 |
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足を踏み外せば、 蟻地獄のような谷に滑り落ちていきます。 |
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10:23 これが登りルート「カニのたてばい」です。 鎖がつけられていて さらに足場となるボルトも打ちち込まれていて 支持確保に難しさはありませんが 高度感が半端なく面白いコースでした。 |
10:28
平蔵のコルから剱岳山頂に向かう一枚岩です。
垂直に上りそこから鎖伝いに右にトラバースしていきます。
今でこそ
足場や鎖がつけられていますが
そんなものなどない時代は難所であったことが容易に想像できます。
すっすべりそー
10:39 剱岳山頂直下です。 気の抜けない岩場が次から次に現れます。 |
10:47
ついに剱岳山頂に到着しました!
やったぁー
剱岳山頂の祠です。 一番高いところに祭られていました。 |
まず視界に入ってくるのが白馬山と鹿島槍です |
そして南側には富士山(ど真ん中)が見えました。 画面の最も右のとんがった山は槍ヶ岳です。 |
剱沢とそれを囲むような別山尾根 そして立山がそびえています。 |
11:40と少し早いのですが 剱岳の山頂で昼食をとりました。 息子からもらったミルでコーヒーを挽いて 360度の絶景を眺めながら贅沢な時間を過ごしました。 |
12:05 剱岳から下山を始めます。 しばらくは登りルートと下りルートに分かれます。 |
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高度感が半端ない。 まだ足が三点支持を覚えていました。 |
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これが「カニのよこばい」の始まりです。 たいしたことないじゃん・・・ って思っていたら この先の横ばいが半端なくて 今回のコースでは一番緊張したかもしれません。 縦に動くより、横に動く方が怖い。 私はここが一番怖かったです。 三点支持を取ろうにも 足を置く岩がない… 天候が悪ければ、難易度はさらに増すでしょう。 |
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下りルートも何度も鎖場が現れました。 | |
13:08 改めて前剱山頂です。 |
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14:49 出発して7時間40分 ようやく剱沢キャンプ場までもどってきました。 さすが剱岳 手ごたえも足ごたえもある半端ない山でした。 「無事に下りてきたよ。」 ここでいつもYAMAPの見守り機能で見守ってくれている娘にLINEしました。 バッテリーの予備は持ってきていましたが、 三日間の長丁場。 万一に備え、YAMAP以外は起動せずに温存していました。 何とか帰るまでもちそうです。 いつも見守ってくれてありがとう。 |
テントを剱岳が見える場所に移動して
テントの中から剱岳を見ながら体を休めました。
大満足です!
剱最後の一日です。
やり切った感は半端なく
心を残すことなく帰路につくことができました。
テントの中から剱の朝焼けを楽しみました。 あいにく少しだけ雲がかかっていましたが 剱岳の姿を目に焼き付けます。 場所を移動したこともあり、 寒さは幾分和らぎましたが、 昨夜は風が強く、テントをたたく音で何度も覚醒しました。 二日間の夜を乗り切れたことにほっとしました。 朝がくるってありがたい。 |
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別山尾根もきれいな朝焼けです。 | |
7:26 全ての荷物をパッキングして別山乗越へ向かって出発しました。 |
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8:26 出発から一時間で別山乗越に着きました。 剱御前山荘は今週末まで営業しているようです。 剱御前まで行こうかという案もありましたが 疲れとガスを考慮してそのまま降りることにしました。 相棒! ありがとう |
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8:35 雷鳥沢が見えてきました。 |
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剱御前小舎はガスっていましたが、 下りるにつれ、雲が晴れてきました。 明日から三連休。 多くの人とすれ違いました。 「剱沢に泊まられたんですか。 私も迷ったんだけど、小屋が閉まってしまったから 何かあったらと思うと不安で 雷鳥沢にしたんですよ。」 雷鳥沢をベースに大日岳や立山三山に登っているという中年の男性。 「剱、いつかは行きたいなぁ。 まだまだ修行中です。」 これから立山三山に向かうという母娘。 笑いあっていらっしゃる姿に、娘との山行きを思い出しました。 雷鳥沢から剱御前までの地獄谷は1.6kmで500mアップ 若者でも息を切らして上っている中、 「早朝、雷鳥沢から御前小舎まで上がって、剱岳を見ながら朝ご飯を食べたんですよ。 贅沢な朝ごはんでした。幸せ。」 とにこにこ笑いながら下って行かれる76歳のご婦人にお会いしました。 すごい! 年を取ってたとえ山頂に行けなくなっても だから行かないのではなく、山を見られるところまで行く。 なんて素敵な年のとり方だろうと思いました。 私もあの方のように、年をとっても山に行きたい。 |
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10:16 雷鳥沢キャンプ場を抜け 硫黄のにおいがただよう地獄谷までもどってきました。 |
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10:27 観光客に交じって立山をバックに記念撮影です。 さすが土曜日 ヘルメットをかぶった我々は異質な存在になっているようでした。 剱御前小舎から雷鳥沢まで500mダウン そこから室堂ターミナルまでは、200m上り返し。 ここが地味にきつくて 心が折れかけました。 |
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10:58 室堂ターミナルです。 帰ってきたぞぉ! |
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室堂ターミナルは観光客であふれていました。 ここでは立山のお土産ばかりで 剱岳のお土産になるものはありませんでした。 しかし われわれには今回手に入れたテント(TSURUGI)がある! 最高のお土産です。 |
夫婦のあこがれだった剱岳に登ってきました。
こんな体験ができるのは相棒が一緒にいてくれるおかげです。
夢は叶うのもではなく
夢は叶えるもの
これからもいい景色を二人で見続けられたら本当に幸せです。
いい山だった!
初めての標高2500mの秋のテント泊。
本当に寒くて過酷でした。
山小屋も閉まっていて、
水とトイレは一か所だけ開かれてはいましたが、
何かあったらという不安は常にありました。
そんな過酷な状況だからこそ見れた景色。
ジェットガスで火を沸かして、ほんのり温かくなったテントで
笑いあえる人のいる幸せ。
ありがとう。