スキー納めin乗鞍

2015.5.2〜4
長野件安曇野市乗鞍岳
3,025m

MAP

 3月15日、ほぼ2ヶ月前にホームゲレンデ恐羅漢での滑り納めをし、今シーズンの滑り納めとしてついにやってきました。北アルプス乗鞍岳です。標高は3,025mと、3,000m級の山ですが、ゴールデンウィークから春スキーバスが運転を開始し、7合目の位ヶ原山荘前まで運んでくれます。この日を待っていた山屋やスキーヤー達は、こぞってここにやってきます。割と手軽にアプローチできる山ですが、気候が変わると厳しい冬山になります。今回は2日連続して登りましたが、天候の急変の厳しさも思い知らされました。

初日 5/2(土)
 山口出発am6:30。のぞみとしなのを乗り継いで、pm2:00には乗鞍高原に立っていました。予定では、この日はリフトの止まったゲレンデを歩いて登り詰めて、体慣らしの一本を滑るつもりでしたが、この日の松本市の気温は30度。お世話になるペンションの女将も「まるで夏です。」と驚いているくらいの陽気で、半袖で十分な暖かさでした。
 当然ゲレンデにはほとんど雪がありません。落胆の色を隠しきれない二人でしたが、とりあえず動いてみようと観光センターまで歩いてみました。道ばたにはふきのとうが咲き乱れています。春真っ盛りです。観光センターで自転車を借りて、懐かしい一の瀬キャンプ場へ行ってきました。30年前二人でテントを張ったキャンプ場です。あの頃の移動手段はほとんど自転車でしたが、改めて若いっていいなと思います。

30年前の印象があちこちに残っています。 水芭蕉の花です。
遊歩道の脇に咲いていました。 まだ雪が雪が残っていました。
30年前歩いた遊歩道は整備されていましたが、不思議な懐かしさがあります。
水芭蕉群生地 あざみ池

2日目 5/3(日)
 am8:00のバスに乗って、乗鞍岳へ向かいます。スキージャケットを薄手のカッパに代えましたが、それでも汗をかきそうです。山スキーの三種の神器をザックに入れて出発です。

 観光センターまで向かう途中にふり返った乗鞍岳です。
天気がものすごく良くて、剣ヶ峰まではっきりと見えます。
 今日はあそこまで行きます。
 観光センターには30分以上前に着いたのですが、すでに人が並んでいて驚きました。結局3台のバスがいっぱいになりました。山屋さん、ロックスキー、テレマーカー、ボーダーなど、いろいろな人がいました。。
 位ヶ原山荘前までバスで約40分。途中雪の壁に挟まれたゴルジェを通ったり、雪が少ないとはいえ楽しい景色でした。ツアーコースの終点となる三本滝から見えるゲレンデは、土が出ているところもあって雪が続いているのか心配でしたが、バスの職員さんによれば「コースはつながっていますよ。」ということだったので、時間次第では攻めてみようということになりました。
9:40 シールをつけて登り始めです。 思いおもいのスタイルで、みんな登っていきます。
穂高連峰がはっきり見えます。 右から、前穂高、奥穂高、槍ヶ岳です。
10:05 最初の急登を登り詰めました。 10:10 乗鞍岳の大雪渓が見えます。
10:20 はっきりしてきた乗鞍岳山頂です。 山頂直下の鞍部。今回はここから滑りました。
大雪渓に向かう斜面です。高度で息が切れます。 10:40 大雪渓に近づいてきました。
11:20 大雪渓を右から回り込んでいきます。 コロナ観測場が左に見えます。
 乗鞍畳平がコロナ観測場左下に見えます。槍ヶ岳には雲がかかっていて見えなくなっていました。ここまで約2時間ですが、早くから息が上がって気が遠くなりそうでした。相棒も久しぶりに高山にやられたようで、もうろうとしたまま足を進めていました。自分は、あまりの暑さにヘルメットを脱いで歩きましたが、この後これが大変なことになりました。3000mをなめていました。
12:00 山頂に至る稜線です。 12:15 山頂直下の鞍部から大雪渓を見下ろします。
山頂まであと少しです。板を脱いでアイゼンに履き替えます。 12:30 ここを回り込んで山頂です。
 シールを履いて歩き始めて,約3時間。ようやく山頂に着きました。
天気に恵まれて不安無く登頂することができました。
 この山頂に2人で立つのは実に30年ぶりです。前回は一の瀬キャンプ場から自転車をこいで乗鞍畳平まで行ってそこから歩きました。
 われわれは年輪を重ねましたが、景色は変わりません。
山頂から南アルプスの展望はあまりありませんでした。 山頂神社の鳥居です。ここに三角点があります。
しばし休憩。大雪渓を見下ろしながら穂高連峰を望みます。
 お昼ごはんを食べてようやく体力が戻ってきました。13:35 板を履いて大雪渓滑降の始まりです。山頂直下から大雪渓を見下ろすと、その斜度と広大さに吸い込まれてしまいそうです。本当に滑れるのだろうか・・・期待と不安でいっぱいになりました。

この斜面です。どうやったらターンが入るのか・・・一度躊躇したら次のターンのきっかけを失いそうです。

 


 大雪渓を降りてきました。ツアーコースの分岐まで来ると、15:40のバスの時間まで、あと1時間半あります。ツアーコースは3km弱。いつもならなんなく降りられる時間です。自分たちの前を、ガイド付きのスキーグループが進み始めました。これは行ってみるでしょう。
 何カ所か迷いそうな場所もありましたが、ツアーコースと言うだけあって素敵な林間コースです。
 コブ斜面の急斜面も何カ所かありましたが、大雪渓に比べたらなんてことはない斜面です。最後の急斜面では雪が落ちているところもありました。ここもなんなくクリアして、1時間もかけずに降りきりました。
声が出そうな素敵な林間。 急斜面直下の緩斜面。

 体中くたくたになりましたが、すごい充実した時間を過ごして無事に下山しました。
となりの穂高連峰では、この日滑落の遭難者が出てしまったとのこと、山の怖さと、守られている自分たちを改めて思い返しました。

 実はこの夜、初めての雪目を体験しました。
ヘルメットもゴーグルもサングラスもつけずに山頂まで歩いたため、顔の日焼けはもちろんのこと、目の角膜を紫外線で痛めてしまって、夜中に出てきた激痛に朝まで苦しみました。雪目だそうです。目の日焼けです。目をつむっても、眼球が動くたびに激痛が走り、こんなに涙があるのかと思うくらいに涙が出続けました。
 3000mをなめていました。

3日目 5/4(月)
 朝になって、少し痛みが引いてきましたが、目の周りはぱんぱんに腫れています。今日でここを離れなくてはいけません。キャンセルなんてとんでもない。運良く天気は雨交じりの曇りベース。予定通り、ツアーコースまで登って、ツアーコースを最後に滑ってシーズンを終わることにします。

9:20 バスから降りた位ヶ原山荘前。すでにシールをつけています。 9:50 誰よりも早く最初の斜面をクリアしました。
 10:00 位ヶ原上部の、ツアーコース分岐です。下界の雨はここではパラパラと音がする氷雨に変わっていました。昨日はあんなにはっきり見えていた山頂は、まったく見えません。風も強く、体感気温も氷点下になってるかもしれません。一日違うだけで大変な変化です。
 自分たちより先にツアーコースを下っていた山屋の二人がいましたが、アタック途中で撤退したそうです。今日はそんな日でした。


しかし、雪の上に立っている!ターンが自由に入る!それが嬉しくてついつい踊ってしまいます。

 
うれしさいっぱいのかあさん。 昨夜の雨で、また地面が出てきた急斜面。
雪目でゴーグルが放せないとうちゃん。 最後の斜面はもったいなくて、何度も味わいながら下りました。

 昨年の12月から始まった今シーズンですが、今までで一番長く滑りました。
夫婦で細皮にこだわって、ようやく大雪渓を攻めることができるようになりました。
この歳になって、本当にいいスポーツに出会いました。
さて来シーズンは、もしかしたら、夫婦のあこがれになっているささきさんとご一緒できるかもしれません。

いいシーズンでした。健康と体力に感謝です。


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