じょうねんだけ ちょうがたけ
2857m 2677m
長野県南安曇郡
H24.8.3〜8.5
山口県主催のサマースクール「ペアレントプログラム」が終わった次の日、わたしんち夫婦は同じザックを背負って穂高駅に降りました。今度は自分たちの山に登ります。ふたりが大学の頃から想っていた、穂高連峰の正面に立つ「蝶ヶ岳」が今回の山です。 北アルプスは何年ぶりでしょう。前回は、わたしんちのフルメンバー「ちびたい」と「ちびめい」が一緒でした。それから10年です。家族で踏んだ穂高を目の前で見ること、これが今回の目的です。 午後8時半に穂高駅に到着して、穂高町のホテルで一泊しました。24時間営業のスーパーが近くにあり、今日の夕食と明日の朝食と昼食分の買い出しを済ませることができました。天気予報は良好で、明日からしばらくは好天が続きそうです。タクシーを6時に予約して部屋に戻りました。 |
4時半起きで6時のタクシーに乗り込みました。穂高市から一ノ沢の登山口まで向かいます。車窓から常念岳・蝶ヶ岳が望めます。蝶ヶ岳ヒュッテが山頂の右側に見えました。春の残雪が蝶の姿に見えることから「蝶ヶ岳」と名付けられたそうです。
6時半に登山口につきました。この日はバスが何台か先行していて、登山口は結構な人で賑わっていました。最近の登山では、シニアな方々に混じってオシャレな若い人が目立ちます。短パンやスカートにタイツをはいて本当にオシャレでかっこいいです。一昔前のように、作業着もどきの若者はいません。とかくクサイと言われがちな山男・山女でしたが、今はいい香りすら漂ってきそうです。
6:45分 一ノ沢登山道を出発しました。
一ノ沢登山道入り口 6:45 | 一ノ沢登山道 7:00 | 一ノ沢登山道支沢 7:30 |
涸れ沢 8:30 | am 9:00 | 大休憩の涸れ沢 9:30 |
「最後の水場」と書かれている沢で休憩を取りました。沢から流れる水を汲むのではなく、傍の岩からしみ出している水が水場の水です。梓川もそうですが、北アルプスの沢の水は基本的に飲みません。上流にも人がいてやっぱり気にしてしまいます。 胸突き八丁と書かれた急登の始まりから、これでもかと言わんばかりの急登がしばらく続きます。 |
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最後の水場 10:30 | 胸突八丁 11:00 | 常念岳が見えてきました 11:45 |
12:30 登山道を登りきると、突然目の前に北アルプスが広がります。
槍ヶ岳から北穂高まで稜線がくっきりでした。思わず声が出ました。
最初は行けるところまで足を伸ばして、なんなら蝶ヶ岳まで行こうかと話していたのですが、想っていた以上の高度差にやられてしまい、今日は5時間弱で足を休めることにしました。常念小屋でキャンプの手続きをして、見通しの良いところにテントを張ります。大学の頃から使っているダンロップは今回も現役です。頑張ってくれています。
常念小屋にはビールの自動販売機があり、生ビールも売られていました。この日は金曜日で、週末に向けて人が溢れていました。小屋泊まりの人たちは、2人で一畳分のスペースだそうで超満員です。互い違いに寝た槍ヶ岳小屋を思い出して、重くてもテントを持ってきて良かったと思います。
南の展望 常念岳 2857m | 東の展望 常念小屋 槍ヶ岳 3180m | 北の展望 横通岳 276.7m | |
まずはテント設営 | 生ビールを売っていました。 | 夕方までのんびり過ごします。 | |
夕日が落ちる槍ヶ岳 6:30 |
夕日があたりを照らすまで心ゆくまでのんびりして、早い夕食を食べました。メニューはオートミールとワインです。小屋にはカップヌードルやその他レトルトまで売っていて、次からは非常食以外は食料を持ち歩かなくても良さそうです。 日が陰り始めるとあっという間に涼しくなってきました。寒がりの相棒はすでにダウンジャケットを羽織っています。 太陽が槍ヶ岳をかすめて稜線に沈んでいきます。とたんに雲が上がり始めて北アルプスの幕を下ろすようでした。明日登る予定の常念岳も赤く染まっていき、夜のとばりが訪れ始めました。 テントに入ってpm7:30には就寝です。周りの大学生達が楽しい話をしていました。 |
MAP(カシミール3Dで作成)
朝4:00起床・・・のつもりが、相棒がごそごそし始めたのが 2:00 でした。御来光登山にしてもあまりに早すぎると互いに寝袋に戻りましたが、ガーミン(GPS)をいじっていると、日ノ出が
4:57 になっているではありませんか。ガイドには常念岳山頂まで1時間半かかるとありました。自分たちは今回フル装備なので×1.5で計算すると、2時間はかかるということです。ということは
3:00 には出発できていないといかんことになります。 2:00 起床は遅くないということです。慌てて朝食をかき込み、テントを撤収しました。常念岳への登りに、小屋から出発した方々のヘッドライトが光っています。
3:30 常念キャンプ場を出発しました。石が積み重なったガレ場を登ります。ヘッドライトを点けなくても大丈夫なくらいの月明かりでした。途中先行していたパーティを追い越し歩を進めます。東の空が明るくなり始めて日ノ出が近いことを知らせてくれます。
小ピークを越えたあたりで景色も白んできました。あと数十分で山頂です。太陽と競争です。
4:50分 常念岳山頂に到着しました。太陽が今にも顔を出しそうな東の空です。間に合いました。山頂には2人の登山客がいました。御来光を4人占めです。
am 4:50 | am 4:58 | am 5:10 |
山頂到着4:50 | 朝日を浴びて 5:05 | 槍ヶ岳を望む 5:20 |
前穂高岳・奥穂高岳・涸沢岳・北穂高岳 | 前穂・奥穂・涸沢岳・北穂・大キレット・南岳・中岳・大喰岳・槍ヶ岳 | 槍ヶ岳 |
南 富士山を望む | 常念岳の影がはっきり映る北穂高岳 | 常念を出発 5:30 |
素晴らしい景色を堪能して、am5:30分に山頂を後にしました。名残惜しい気もしましたが、これから蝶ヶ岳までの稜線は北アルプスの穂高連峰がいつも一緒です。飽きるほど景色を堪能できます。
常念からの下りはガレ場というより岩場の下りでした。写真でしか見ていない大山甲ヶ山の「ゴジラの背」が規模を大きくしたようです。長い下りの後は次のピークへ向けて長い登りが始まりました。時々休憩を取りながら穂高を眺めながら蝶ヶ岳へ進んでいきます。
蝶ヶ岳に至る下りの稜線 6:00 | 頻繁に現れる岩場 | 基本ガレ場の下り 6:30 |
蝶槍を見ながら朝食 2564ピーク 8:30 | 近づいてくる穂高連峰 | この景色を見ながら歩きます。 |
9:30分。2564ピークから1時間かかって蝶槍に到着しました。とがったピークには人が集まって渋滞中です。景色は360度の大パノラマ。北には常念岳が腰を据え、燕(つばくろ)かなと思われる稜線もくっきりでした。
北アルプスの大パノラマ | 蝶槍に到着 9:30 | 常念岳を望む |
そこから蝶ヶ岳は稜線続きではっきりと見えるのですが、アップダウンが繰り返されてなかなか近づいてきません。常念を出発してからそろそろ7時間を過ぎます。10:45分 蝶ヶ岳ヒュッテを過ごして蝶ヶ岳山頂に到着しました。
もうすぐ蝶ヶ岳 横尾への分岐 10:15 | am10:45 蝶ヶ岳山頂 | |
雲の下の松本市 | 穂高連峰が目の前に | 大天井岳(おてんしょう)・燕岳(つばくろ)・常念岳 |
出発してからすでに7時間以上。午前中とはいえ身体はたっぷり疲れていました。山頂でマットを広げて大休憩です。当たり前のように見えるアルプスの山々がなんと贅沢なのでしょう。今まで穂高からは、何度か眺めてあこがれていた蝶ヶ岳です。天気にも十分すぎるほど恵まれていましたが、やっぱり思っていたことは実行しないといけないと改めて思います。 「やけてしまう!」と飛び起きた相棒と昼食を食べ、12:00 蝶ヶ岳を出発しました。ここからは下りだけの予定3時間。この時のために春から膝に時間とお金をかけてきました。軽装の数時間で悲鳴を上げていた膝です。祈るような思いで下りを始めました。 |
森林限界に戻って木立の中を下っていきます。景色がないのでつまらないという人もいるようですが、それはそれで素敵な道です。時折出会う高校生の集団がほとんど山口県の高校で驚きました。高校登山部の夏の県体でしょうか。妖精の池と呼ばれるため池?を越えてからしばらくはなだらかな下りが続きましたが、残り3分の1からつづら折りの急坂でした。膝はどうにか大丈夫のようです。相棒は下りにも強く、始終自分を気遣ってくれました。
15:00 予定通り3時間で徳沢に着きました。時間は予定通りで、膝は持ちこたえたのですが、何度か心が折れました。相棒に感謝です。
徳沢に到着 15:00 | 徳沢ロッジ近くに天場をとりました。 | 辺りはテントだらけです。 |
到着して飲んだ生ビールがおいしかったこと! 夕方が近いので少しゆっくりしてから夕食の準備に取りかかりました。メニューは最終日定番のかま飯です。10年前も子どもたちと小梨平キャンプ場でかま飯を食べ、歴代一位の人気メニューです。 この日の歩いた総時間は約11時間。よく頑張りました。夜になって徳沢ヒュッテにお風呂に入りに行って、この日も 20:00 には就寝です。周りの高校生達もさすがに夜は静かでした。 |
世の中は日曜日。徳沢から上高地までの道にも人が溢れていました。特に明神からは観光客が多く、ひときわ華やかな様子です。
わたしんちの登山も今日が最終日。松本から列車で帰る予定です。徳沢から上高地までは、10年前の子どもたちの思い出があちこちにありました。ちびたいもちびめいも大きくなりました。ちびめいは今月の終わりに大学の合宿で再びここを訪れるそうです。一番泣いていた子が山好きになりました。
ゆっくりゆっくり歩いて、 9:00 に上高地に着きました。小梨平やビジターセンターなど見て回って、 10:10分に新島々行きのバスに乗り込みました。この4日間全く雨に遭わず、ガイドの人なども「こんな良い天気は久しぶりです。」と言っているほどでした。
行動を起こさないと次の景色が見られないし、ゆっくりでも一歩を踏み出していれば目的の場所に着きます。山歩きは生き方を示唆してくれているようです。次の大きな目標は、槍ヶ岳から穂高までの縦走かな。60を越えたシニアな年齢で実現できそうです。それまで体力と気力を維持すること、それから相棒と一緒でいること。
今回久しぶりに自分たちのために自分たちの山に登りました。やっぱり山はいいです。