(はながたに)周南市鹿野
831.0m
H15.6.24
国道376号線を徳山から北上し、鹿野インターを目指します。インターの手前で「せせらぎパーク」へ進路を右にとり、橋を渡って高速道路の高架をくぐりました。くぐってすぐの道を右折し、林道石ヶ谷線へ入ります。きれいな舗装路を登っていくと、しばらくして舗装されていない林道になります。奥まで詰められそうだったのですが、この林道も面白そうなので、林道脇に車を止めて早速歩き出しました。2003年6月24日午前11:00。今にも泣き出しそうな空です。
カシミール3Dで作成
我が家のホームページにリンクさせてもらっている「ヤブ山突撃隊」のレポートを読んで、いつか行ってみたいと思っていた山でした。秘境のような連続滝と、荘厳な湿原をこの目で見たかったのです。
駐車をした場所から登山道入り口まではのんびりした林道です。でも、連日の雨で側を流れる石ヶ谷の川はごうごうと音を立てて流れ、水煙を上げて神妙な雰囲気をかもし出しています。登山道入り口は林道が大きく左にカーブしている橋のたもとにありました。テーピングしている入り口は、すぐ先の沢が水量が多くなって渡れなくなっていました。林道を進んで沢を越えて、ちょっと脇から登山道に入りました。
登山道は植林地帯の中を高度を稼ぐ小道でしたが、すぐにヤブ道になって道が分かりづらくなります。目を凝らして踏み跡を見つけては前に進んでいきました。ひどいイバラのブッシュを漕ぐと、目の前に連続した滝が現れました。命名ヤブ山隊の「花ヶ谷滝」です。創造していたより規模の大きい滝で、寂地の犬戻峡の滝とどことなく似ています。
滝を右手に見ながら先を進むと、沢の本流沿いに左右に自然林と植林地帯が広がってきます。滝の水音も聞こえなくなり、花ヶ谷湿原まであと少しです。
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花ヶ谷湿原に至るヤブ道 | ひっそりと広がる花ヶ谷湿原 |
規模としてはそれほど広くはありませんでしたが、滝を越えて奥まったところにある湿原は、人間が踏み込んではいけないような神秘的な雰囲気を漂わせていました。エルクやムースが草をはんでいそうなそんなところです。折からの雨も手伝って、昂揚していた気持ちが何となくさめていきます。来てよかったのかなぁ。なんて変な感情におそわれながら、ここまで来たのだからと踏み跡をさがして先を急ぎます。今回もPARAさんと一緒だったので寂しさも和らぎましたが、ここは独りで来るところではありません。所々に人の跡がありました。崩れた炭焼き窯も何カ所かありましたが、幾つかはイバラに覆われて全体を把握することはできなくなっていました。
沢は南東に方向を変え、その先からは植林の急騰が待っていました。地図は森の中で暗く等高線すら読めないほどでしたが、単純な沢だったので迷うことなく登り詰めて、最後のヤブこぎをして自然林の稜線に出ました。下山ルートに笹で印を付けて南へ進路を変え山頂を目指しました。
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踏み跡に目を凝らしながら自然林をしばらくヤブこぎすること200歩。午後2:30分。わずかに開けた山頂に出ました。登山はじめから約3時間の行程でした。2等三角点が真ん中にあり、ここが花ヶ谷山頂であることを示しています。展望の無い山頂でしたが、一つの山頂に一歩を記せたことは喜びです。でもなんだか花ヶ谷滝や花ヶ谷湿原にやられてしまったようで、寂しさがつのっていきます。すぐに来た道を引き返し下山を開始しました。 |
花ヶ谷山頂 |
下山は思ったより早く2時間弱で車まで戻りました。途中踏み跡を見失ってガケを滑り落ちそうになったりしましたが、単純な沢だったので迷うことはありませんでした。雨の中の行程ということもあってか、不思議な感覚にとらわれ続けた山歩きでした。中国山地の新しい魅力というか不思議さを十分に堪能できた一日になりました。