
驚くべきことに、メーン州の水は人為的な公害がほとんどなく、アイダインという消毒液を入れると、小川の水も、河川の水も、果てには岩の間のたまり水も、ボートの発着場のある湖のハーバーのくみ水でさえ飲むことができるようです。
洗剤などの家庭排水や散布された農薬などは、アイダインをもってしても浄化することはできませんから、逆にアイダインを入れたら飲めると言うことは、家庭排水などで汚染されていないことになります。
この点についてHIOBSのスタッフに聞いたら、メーン州では例外なく、家庭汚水を垂れ流すことは禁止されており、これに違反したものは罰せられると言うことです。バックボーンにこの事実があるから、みな安心して水を口にすることができるのでしょう。
しかし、本当にきれいな日本の岩清水はそのままで飲めるのに対して、アメリカの水はたとえそれが岩清水であろうと、アイダインを入れるなどの浄化処置をしなければ飲めないのです。「How To Shit In The Woods」(訳本:山でうんこをする方法)という本によると、アメリカのみならず、現在世界各地の水で、ひどい下痢を起こす寄生虫が確認されているのだそうです。人間を含む動物の糞尿が原因で、最近特に増えてきている問題で、このために、どんなにきれいに見える清水でも、消毒薬を入れるか、専用のフィルターでこすか、一度沸騰させるかしなければならないのです。日本の水は急流で長さも短いためもあってか、現在のところその寄生虫は確認されていませんし、症例も報告されていないようです。
と言うことで、メーン州では基本的にどこの水でもとることができます。日本人として抵抗を感じるようなよどんだたまり水でも、彼らは結構平気でボトルに入れています。そしてHIOBSでは必ず、アイダインと言う薬品をボトルに入れます。別の団体のハイカーは、専用のフィルター(シリンダーで圧力をかけて強制的に濾過するフィルターで、結構大きくて重くて値段も高い。1万円くらい。)で濾過して水をとっていました。塩素系の消毒剤もあるようです。
HIOBSのアイダインを使った飲み方ですが、専用の小さなプラスティックケースにアイダインを入れておいて、1gのウオーターボトルにぷかぷか浮かべておきます。水をとったらその場で、アイダインを水1リットルに対して5滴か10滴加えます。5滴加えた場合は、1時間、10滴加えた場合は30分待って、やっとその水を飲むことができます。のどがからからになって水をくんでも、最低でも30分待たなければいけないのは、タイミングがずれるとつらいものがあります。
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アイダインを英語で書くと、IODINE と綴るのです。ちょっとよく見て!ローマ字読みでちょっと無理して、「イソジン」と読めませんか。そうなのです?これは、日本でうがい薬に使われているヨウ素液なのです。私のつたない英語力で成分表を読んだら、エチルアルコール割りの5%ヨウ素溶剤と書いてあったように思えます。コ○ゲンのうがい薬で代用できるかどうかはちょっと分かりません。 |