はじめに

 OBSアメリカ研修の話がきてから、自分に何ができるのか自問自答する日々が続きました。今まで行かれた諸先輩方の話を聞いたり、研修報告書を読んだりしながら、自分がアメリカに行く意味を考えました。

 山口県のキャンプに参加したのは、私が教員になって2年目の平成63年です。そのころは「原始に生きる防長っ子キャンプ」という名前で、黒ヶ谷というところをベースにして小中学生対象の長期キャンプが行われていました。その時にお世話になった方々との出会いがとても印象的で、こんな世界にこんな人たちがいるんだ。と言う感動を味わったことを今も覚えています。それから次の年もまた次の年も、キャンプのメンバーに黒ヶ谷で出会えることが楽しみで、私自身がキャンプに参加していました。

 平成2年にHIOBSからアンディがやってきて、滞在型のキャンプから、移動式のキャンプに変わっていきました。その時のアンディの、「OBSでは、道を間違えたとは言わない。その道を選んだんだ。と言うんだ。」と言う言葉が印象に残っています。でも、その時は、何だろうこれは。失敗は失敗じゃないか。と、正直そう思っていました。そして、そう思いつつキャンプを重ねていきました。小学生対象のチャレンジキャンプ、中高生対象のクエストキャンプに関わっていきました。子供たちが変わるのです。泣いていた子供たち、わがままを言っていた子供たちが、自分の足で前に進むようになるのです。友達の荷物を持つようになるのです。「いつも怒られている子供が、同じようにキャンプでも怒られたら、その子は何も変わらない。その子が自分で自分を認められるような体験ができなければ意味がないんだ。」そう言ってくれた人がいました。

 「これが、OBSなのではないだろうか。だからアンディは、自分たちの行動を失敗体験にしないような投げかけをしてくれたのではないだろうか。これがOBSなら、私がアメリカに行くことも、私自身それを成功体験にすることが大切で、そしてそれを、次の子供たちのOBS体験につなげていくことが大切なのではないだろうか。何ができるかなのではなくて、それをして、自分は何をするのかと言うことなのだ。何をするかは、一緒に考える仲間がたくさんいる。とにかく、今はこのチャンスを楽しんで、しっかりHIOBSを感じてこよう。」そう思うことができるようになって、私の気持ちもアメリカに向いていきました。

 これは、そんな気持ちを抱いてアメリカに行った私の、まず最初に取り組んだ「そして私がする何か。」です。HIOBSで見たこと感じたことが、少しでも、読んでくださったみなさんに伝われば幸いです。

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