Leave No Trace:跡を残すな
戸外の技術と倫理
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・10人以下でグループを作りましょう。
・適切な設備を選びましょう。
・食料を詰め直しましょう。
・僻地では、浅く広く行動しましょう。
・誰も入り込んでいないような場所は避けましょう。
・ゴミや残飯を正しく適切に処分しましょう。
・うんこは確実に処理しましょう。
・手洗いや食器洗いの排水を極力減らしましょう。
・漁と狩りから出る汚物は小道や水場から離れたところに処分しましょう。
・クマの生息地域では、食料とその臭いに気を付けましょう。
・クマのサインに注意しましょう。
・木や植物にダメージを与えないようにしましょう。
・自然および文化遺産を残しましょう。
・野生生物の生活を脅かさないようにしましょう。
・他の旅行客への配慮を忘れないようにしましょう。
・火を小さくして安全を保ちましょう。
・跡を残しにくい火床の場所を探しましょう。
あなたが自分の野外での技術レベルに合わせてあなたの旅行を慎重に設計することは、準備段階の最初のステップです。あなたが予想外のひどい天候の中で、テントもストーブも、暖かくて快適な衣服も持っていないとしたら、その場所にキャンプを設営しようとして、不当に火をおこすか、避難所に無理矢理もぐりこむか、更には、はかない植物を踏みにじってしまう様な事もしてしまうかもしれません。このように、時として環境への影響を考えることよりも、観光客の安全の方が優先され、自然と人間の間を取り持つ為の慎重で適切な配慮は必要とされなくなってしまうことがあるのです。
地域を知りましょう。そして、どうするべきか考えましょう。
あなたが訪れようとしている地域の特徴とその地域性について、ガイドブック、現地の土地管理人、所有者またはそこの遠征クラブの人の意見を聞き情報を集めなさい。多くの荒野は、濫用で苦しんでいます。それに代わる他の場所を出向くことで、しばしば、より良い僻地経験をすることができるものなのに、です。あなたの旅行を開始する前に、その場所の許可証または土地所有者許可があるならば、できるだけ手に入れましょう。安全のために、非常事態電話番号を知っておきましょう。そして、あなたがどこに行っているか、そして、あなたがいつ家へ戻るかを、誰かに話しておきましょう。
あなたが行こうとする地域が人気がある地域ならば、あなたのルートに他のハイカーも大勢いるのだということも意識していましょう。きちんとした場所にあるキャンプサイト、すでに建てられている山小屋、またはキャビンスタイルの避難小屋においてキャンプを予定しましょう。覚えておきなさい。避難小屋とキャンプサイトは、通常、最初に来た人間が最初に使った場所にできることを。そして、常に、万一に備えてあなた自身のツェルト(避難用テント)を持ち運びましょう。さらに、他の適切なキャンプサイトの見つけ方とその設営の方法を知っておかなければいけません。登山道の入り口にあるお役立ち情報は、どんな情報でもチェックしておきましょう。
あなたが、難しい”Leave No Trace(痕跡を残さないテクニック)”の技術を持ち合わせているのならば、その場合だけ道をそれて行動することができます。公共な、または個人の土地では、指定されたキャンプサイト以外の場所でキャンプをすることは許されません。
グループ・リーダーの監督の必要性と自然環境への影響を減らすために、10人以下でグループを作りましょう。
僻地では、1日に4人から6人のハイキング・グループに分かれること、ハイキングの間、それぞれが異なるルートを通ることに配慮しましょう。そして、グループ・サイトなどの設備が使える場所があるならば、その場所を使うべきです。孤独と、より希少な経験を求めている小さいパーティーのためにも、キャンプの跡をなるべく小さくするように心がけ、その場所に踏み入ることを避けましょう。多人数での徘徊による雑音や騒々しさ等は全て、減らすことができる環境への悪影響なのです。小道がたやすく踏み崩れてしまうような所では、湿ってぬかるんでいる場所を避けて行動しましょう。高山植物地帯のハイキングコース上で1泊するつもりならば、特別な注意を払ってください。決して火をおこしたり、テントを張ってキャンプをしたりしてはいけません。
適切な装備を選びましょう。
軽量ストーブ、それ自体で自立することができるテントと折りたためる水タンクは、それらを使うのに適した衝撃に強い場所では、大変便利なものです。じめじめしてぬかるんだ場所でも、足につけるゲートル(スパッツ)は、あなたの足を保護して、踏み跡をたどって歩くハイキングを可能にします。人間が出す生ゴミを埋めるための小さな小さな穴「猫の穴」を掘るために、園芸用の小さなシャベルはまず不可欠です。明るく色のついたテント、パック、衣類は魅力的に見えるかもしれませんが、僻地の風景に合わず、異様な感じを与えてしまいます。視覚的な感じをより自然にするために、風景(自然)にあった色の服と装備を選びましょう。(狩猟期に着ける鮮やかなオレンジ色は、安全上に置いて例外です。)気付かれないくらいの距離から、野生生物を観察したり、写真を撮ったりするために、双眼鏡と高倍率のカメラ・レンズを持って行きなさい。スキーストック、杖、ピッケルとアイゼンは、北東の山道を歩くために必要な補助具です。しかし、それが必要とされないときや、道から逸れて使われる場合には、その道をむやみに広げ、自然性を損ねてしまう恐れがあります。斧や、手斧や鋸は、Leave
No Trace Camp(跡を残さないキャンプ)を僻地でする場合は必要とされません。
食料を詰め直しましょう。
慎重に食糧計画を立て、箱から食料を取り出して、再利用のできるガラス製の入れ物や、壊れにくい入れ物かビニール袋にそれを詰め直しなさい。重さと空間を節約することに加えて、これはあなたが僻地に持って行くゴミの量をもとから減らします。
あなたがどこでハイキングやキャンプをするとしても、丈夫で耐久性のある、そして人為的な影響を受けにくい地面は大変使いやすいものです。大部分の地域では、そのような場所にすでにハイキングコースを持っており、定評のある、誰でも使えるキャンプサイトをもっています。あなたがハイキングコースを離れてその場所を荒らしそうならば、あなたは、ハイキングとキャンプのために丈夫な地面を探す必要があります。岩肌がむき出しであったり、砂地や砂利地であったり、雪や松葉や枯れ葉などがつもっている場所がそうです。。
人気がある地域では、活動する場所を制限しましょう。
人気があってたくさんの人が使う場所では、周囲の環境への影響を防ぐためにも、常設されたキャンプサイトとハイキングコースを使って行動しましょう。そういう場所は堅く踏み固められ植生もなくなっていて、続けて使用したとしてもそれ以上影響を与えることはほとんどありません。
小道から外れないようにしましょう。人為的に作られた小道からそれたハイキングは、植物を踏みつけ、地面を削り、広範囲にいくつものふみ跡をつけてしまいます。ぬかるんで湿ったような小道では、できる限り露出した岩の上か踏み板の上を歩きましょう。踏み板のない湿地を歩く時は、泥を靴に入れないように、ブーツの上にゲートル(スパッツ)を着ければよいでしょう。むやみに道を引き返したり近道を通ったりしてはいけません。それは時間をほとんど短縮しないばかりか、地面を崩したり、谷型の溝を掘ってしまうことにもなりかねません。
高山地帯では、ハイキングコースの上か露出した岩の上だけを歩きましょう。高山植物の多くはとても壊れやすく、そしてそのダメージの回復には長い時間がかかります。過酷な生育条件に加え薄く痩せている土地は、高山植物に必要以上の試練を与えています。北東地帯では、ほとんど例外なく、高山地帯においてキャンプをすることを認めていません。それらの高山植物が植生を保っているならば、その美しさを守るため、その希少さを十分認識して、その生育場所の保全について考えていく必要があります。
永続的な表面(例えば岩または裸の地面)で、休憩をとりましょう。それであなたは、環境に影響を与えることなく、そして他のハイカーのじゃまになることなく体力を回復することができます。もし周囲に植物が多く生えていてそれらを踏みつけてしまいそうなときは、小道上の広い場所を探して、そこで休憩をとりなさい。この配慮は、小道で混雑するといった感覚を減らしてくれます。
小道と水場から離れたところに設置されたキャンプサイトを選びましょう。勧められる距離が変化する場合がありますが、200フィート(約60m)を目安にしてください。これは、おとなが70から80歩を普通に歩く距離です。
ほとんどの山間部地域は、だれでも利用できるキャンプサイトを常設しています。そこが適切な場所かどうかは別だとしても、キャンプをすることが禁止されている場所は多く、地域の管理人とその土地の所有者によって許可された場所しか使えないのだということは覚えておかなくてはいけません。
時には、指定のサイトや避難所さえ、小道または水場の近くに不適当に位置する場合があります。これはまれなことではありません。なぜならば、地理的条件のためであったり、そこが人気があるために頻繁に人が行き来していて、昔からそこに存在していたという単純な理由からなのです。離れて使うということは、小さな穴を掘って埋めたり、堆肥トイレを使用したり、木で作った台座にテントを張ったり、たき火場所を限定したりすると同じように、集中的な使用による弊害を和らげ、環境を守るという意味があるのです。弊害を最大限防ぐという感覚からは、あなたにとって理想的なサイトではない場合でも、それ以上の環境破壊を防ぐという意味からも、そこを使うようにしましょう。
地元の案内書には、道や踏み跡や個人の所有物から、時には1/4マイル(約400m)ほど大きく距離を置いた場所にキャンプを張るように書かれているかも知れません。それは、自然水と野生生物への環境破壊を緩和し、混雑を軽減して、孤独を愛するあなたの感覚を守るためなのです。実行しましょう。あなたは、キャンプサイトから河原や湖畔まで歩くしばらくの間、周りの素晴らしい景色を楽しむことができるのです。
良いキャンプを設営するために、時間の余裕と体力の余裕をもって目的地に着きなさい。もしそこがいっぱいであったとしても、あなたは他の場所を見つけに先に進むことができるでしょう。そこが大勢の人の使用で荒れていたとしても、その近くにきちんとしたキャンプサイトを見つけることもできるのです。少し時間をかけて、より良い場所を探しましょう。いいですね。そうすることで、その場所での環境破壊をごくわずかに留めることができるのです。
雨が降っても水が流れるくらいのわずかな傾斜があるところや、いくぶん小高い場所をキャンプサイトに選びましょう。そうすることで、テントの周りに溝を掘る必要がなくなりますし、土を耕してその場所を荒らすこともなくなります。決して、葉っぱを取り除いたり、こけのような汚れをこさいで綺麗にしたりしてはいけません。それらは、踏みつけられるショックを吸収し、水たまりを作らず喫水面の腐食を防いでいるのです。
それ以上固く踏み固められた地域を増やすことのないように、またその周りにあちこち使用場所を増やすことのないように、グループに合った大きさの場所を選びましょう。テントを張る場所、歩く道、そして調理をする場所は、すでにそこにある堅くしまった地面か、もとから耐久性の高い表面に限定されなければいけません。もし、あなたが見つけた場所が、キャンプを設営するのに植物を痛めたり取り除いたりしなければいけない場所であるならば、そこから離れて他の場所をさがしなさい。そして、次のハイカーが再び自分たちが選んだ場所を使ってくれるように、その場所をきれいにしておきましょう。
食料や使わない道具は、突然の風で飛ばされないように、またネズミやシマリスのいたずらに合わないように、確実に片付けられなくてはいけません。クマやアライグマのような、食物をあさる動物がいる地域が大変なのです。この冊子で後ほどくわしく述べますが、どこかにぶら下げることで食料を守らなくてはいけません。
そうしなければ、ゴミと食物はその場所に散らかり、自然環境を破壊してしまい、食物をあさる動物を除いて誰からも喜ばれることはありません。
僻地では、浅く広く行動しましょう。
“道なき場所”と呼ばれている遠く離れた原生の地では、そこに踏み入る人はほとんどなく、人間の生活の跡をあまり見ることはできません。北東部の広大なハイキングコースには、たくさんの種類のハイキングルートが用意されていて、最も人気のある場所へ導いてくれるシステムがあります。道を外れると、地形は行く先をふさぎ、植物は厚く生え茂ります。だから、道を外れて旅をする必要なほとんどないのです。しかし、あなたがどうしても道をそれて何かを調べようとするならば、環境破壊を最小限に押さえる方法を知っていなければいけませんし、“Leave
No Trace(そこに跡を残さない)”を責任もって実行しなければいけません。
人為的な環境破壊を避けるために、少人数のグループで行動しましょう。道なき場所を旅行するとき、環境保全の見地で、4人から6人を超えないできるだけ少ない人数でグループを構成してください。それ以上の大きなグループになると、道なき場所の旅行を勧めるわけにはいきません。
ハイキングをする間は、丈夫で耐久性のある地面を使いましょう。可能なときはできるだけ、岩、砂、砂利、雪、松針や落ち葉の上を歩くようにしましょう。乾いた草やスゲ科の植物は、その構造としなやかな茎によって、更に有効に衝撃を吸収します。植物のためにも、また新しい小道を作ってしまわないためにも、ハイキングをする間は扇形に広がって、なるべく踏み跡をつけないようにゆっくり歩きましょう。
壊れやすいもろい地域を避けましょう。北東部の森は非常に生産的で、そして植生が活発で豊富であるように見えますが、山間部での娯楽活動によっておこされる植物への損害は、広範囲にわたって発生している問題です。壊れやすい土地を避けるためにルートを選択しましょう。守るべき野生生物生息地、また他のどんな場所でも、あなたがそこを通過した痕跡は、次に続く人をそこへ誘ってしまいます。成長途中の原生地では、一般的に言うと一年間で5日から10日間程度の短い期間しか人間は入らないのですが、例えばそれ以上にあまりに多くの期間滞在をしたり、非常に短期間の間に頻繁に使用したりすると、植物に対して、長期にわたる深刻な打撃を与えてしまいます。歩き回る衝撃に弱いこと、衝撃からの回復が遅いこと、そして、そこを訪問する旅行者の数が多いことが、全ての高山植物地域を壊れやすくさせているのです。高山植物地帯では、必ずそこの道にそって歩きましょう。道から外れなければいけない場合は、露出した岩の上を歩いてください。
湿った土地は、壊れ(崩れ)やすいのです。沼や沼地の周りや、ひどい雨によって非常にぬかるんでいる地面の上では、道から外れる場合でも、歩く場所を露出した岩や砂状の土の上に制限するか、代わりの経路を見つけるかしてください。
大きく広い葉の植物や、低成長する潅木(高山植物地域と森林層で共通)は、同様にもろく、これらの種類の植物を避けるルートを選ぶ必要があります。
適切な、丈夫で耐久性のあるキャンプサイトを選びましょう。すでに紹介した、丈夫で耐久性のある表面は、キャンプサイトに適切です。そこから離れた場所でキャンプをする場合は、1泊か2泊に制限しましょう。
他の人達や、あるいは野生生物から見て、あなたがどう映っているかを考えてください。木または岩のような自然のついたての後ろに、目立たないようにあなたのキャンプを設営しましょう。広場の中にテントを張ったり、あるいは他の人々に非常に接近してテントを張ったりすることは、僻地が感じさせてくれる、独特な風景や孤独の感覚を失わせてしまうことになります。道、水場および他のキャンプ場所から少なくとも200フィート(約60m)遠ざかってキャンプ生活をするべきだということを忘れては行けません。
キャンプサイトをどのようにレイアウトするかということは、人里離れた地域ではさらに重要になります。キッチンの場所は最も多く使用されるので、丈夫な場所を選んでください。衝撃を分散させるために、キッチンの場所を周期的に変えていくことは必要かもしれません。就寝場所も少なからず影響を受けます。歩き回ることで生じる衝撃を分散させるためにも、料理、就寝および物品収納場所を分けてください。踏み跡が道になることを回避するために、その都度歩く場所を変えてください。大きな折り畳めるコンテナを使うことで、水をくみに行く回数を減らしてください。キャンプサイトの自然環境を傷つけないように、活動を規制するということを最優先に考えてください。
キャンプを撤収する時には、動かした岩や枝などを元に戻しておくことで、その場所を以前の状態にしましょう。踏み跡を平らにならし、小枝で草を起こし、木の葉や小石などを何気なくばらまいて、自然な様子に戻しましょう。キャンプをした場所は、完全に回復するまで多くの時間を必要とします。そこを自然の状態に戻しておくことは、次に来る人たちから、キャンプに適切な場所だと言うことを悟られないようにすることと、守るべき原生の地域を維持することを意味しています。
誰も入り込んでいないような場所は避けましょう。
ほとんどのキャンプ地はある程度の状態からは完全に回復することができます。しかし、踏み荒らす量が植物の再生能力を超えてしまうと、そこは限界点に達してしまいます。一度でも限界点を超えてしまうと、継続的な使用でもキャンプ地の状態は急速に悪化していくでしょう。これによって、はっきりとそこだと分かるキャンプ場を作ることになるか、もしくは、いわゆる「不毛の地」を生むことになるのです。
わずかでも使われた状態が残る小道やキャンプ地があれば、そこを回避して回復に必要な時間を与えましょう。踏みにじられ、押しつぶされた植物などで、そこを使ったことが分かるようなキャンプ地や小道を再生するためには、その場所をそのままにしておくことが最も良い方法なのです。
もし、それ以上誰もそこを使わないのであれば、樹木限界線より下の使用頻度の少ないキャンプ地や小道は、もとの自然な状態に戻るかもしれません。気を付けて見てみると、全ての荒野は、数は少ないけれども、実質的なキャンプサイトや歩くべき道を持っているものです。
僻地では生ゴミやごみを捨てる場所はありません。それはすなわち、出した物を再び持ち帰るということ、そして、他に人にもそれを勧めるということを単純に意味しているのです。さらに、私たちは、他のものが残したごみを持ち帰るためのゴミ袋を運ぶことで、よりよい自然管理の姿を示すことができます。これは小さな負担です。そしてあなたは、その努力を誇りにすることができます。
行く先々で出るゴミの量を減らしましょう。
あなたが旅行の準備をする時に、リサイクルが可能なビニール袋あるいはコンテナへ食物を詰め直して余分な包装を取り除き、ガラス瓶や缶も取り除きましょう。この単純な作業が、不本意に残ってしまうあなたのゴミを減らしてくれるのです。
ごみや残飯を正しく適切に処分しましょう。
「ごみ」は、通常必要以上にパッケージされた製品を僻地へ持ち込むことから出てくる、食べられない無駄物です。ごみは、不燃性のホイルかプラスチックであることが多く、残飯が付いたままそれを燃やすと、そのにおいで動物たちを呼び寄せてしまうことがよくあります。これらの理由のために、ごみはすべて持ち帰ってください。決して郊外にゴミを捨ててはいけません。これをすると、他人に多大な迷惑をかけてしまいますし、また、それを処理するために膨大な管理負担を課してしまいます。
丸められたごみやキャンディー包み紙のような小さな数片のごみは、しばしばポケットから落ちて、僻地を散らかします。家でお菓子の箱を開けて、袋にそれを詰め直しましょう。森では、ごみの切れ端が小さければ小さいほど、ゴミを持ち帰らなければいけないという負担が軽減されていきます。
「生ゴミ」は料理するときに出てくる残飯です。あなたが食べるだけの量を用意し、それを調理することで生ゴミの量を減らしてください。こぼれた食べかす、オレンジの皮、リンゴの芯のような残飯があれば、調理場所の周りから拾い上げ、持ち帰らなければいけません。もし、食べ残しがあるならば、ビニール袋にそれを保存して後で食べるか、持ち帰るかしてください。
生ゴミを燃やしたり埋めたりしてはいけません。生ゴミは完全に燃え尽きず、ゴミを残してしまいますし、埋められた生ゴミは動物に掘り返されてしまいます。食べ物のにおいを消し残飯を減らすことは、動物たちが安易に食糧を手に入れる手段として人間に慣れてしまうことを防ぎ、また、キャンプ場の周りに散らかって「迷惑物」になることを防ぐことにもなるでしょう。
目次
僻地では、私たちが持ち帰れず残したものは、その場所で廃棄物になってしまいます。うんこもそうですし、料理や洗浄からでる廃水もそれに含まれます。
うんこは確実に処理しましょう。
正しくうんこを処分することで、水源の汚染や、ジアルディアのような病気の普及を予防し、他の旅行客が不快感を感じることも防ぐことができます。計画的に建てられたいくつかのキャンプ場は少し離れたところにトイレ小屋を用意しています。あなたの周りにそれがあれば、そのトイレを利用してください。
トイレが無いところでは、最大限の環境保護のためにちょっとした知識と機転が必要になります。人間の糞便を土の中に埋めることは最も有効な方法だと言われていました。しかし、最近の研究で、埋められた糞便は今まで考えられていたよりゆっくりと分解していることが分かってきました。モンタナ州の山岳地域に埋められた病原体はその1年後にまだ生きていたのです。分解に時間がかかると言うことは、うんこをするために適切な場所を選ばなければいけないということを意味しています。
LNT衛生運動4つの指針は次の通りです。
・水源を汚すことはやめましょう。
・昆虫や動物との接触を避けましょう。
・自然分解を最大限に利用しましょう。
・社会的な環境破壊の機会は可能な限り減らしましょう。
Catholes(猫の穴): 必要なときにその都度掘る「猫の穴」は僻地でものを捨てる時に最もよく使われる方法です。猫の穴は、水場、道、キャンプ場所および溝から十分遠ざけて掘らなければいけません。200フィート(約60m)が目安でしょう。ただし、地方条例や地域の環境要因によって、もっと離れなければいけない場合もあることは忘れないでください。
「猫の穴」は、広範囲に分散して掘るべきです。適切な場所を見付けるために、キャンプ場所から少し歩いてください。さらに良いのは、その日の行動範囲より離れた場所を使うことです。他の旅行客が偶然にも発見しそうにない場所を選びましょう。雪が地表を覆う初期のシーズンに、「猫の穴」を掘る乾燥した場所を探してください。雪に埋もれたうんこは分解されず、雪が溶けたときにそのままの姿で顔を出すでしょう。
砂状の鉱物土よりもむしろ、有機物を含んだ土(表土)のような場所に「猫の穴」を掘る方が分解を早めます。小さな移植ごてで、直径約4〜6インチ(10〜15cm)、深さ約4〜8インチ(10〜20cm)の穴を掘りましょう。使い終わったら、小枝を使って「猫の穴」の中で土と混ぜ合わせ、さらに土で穴を塞ぎ、落ち葉などの自然物で覆って跡を隠しましょう。うんこを石の下に隠すことは、石が分解に必要な熱を吸収してしまうので勧められません。
例えば小さい子ども達のグループのように、グループのメンバーが「猫の穴」を有効に使うことができないのならば、トイレ小屋の設備のあるキャンプ場かハイキングコースを選ぶことは賢い選択です。
おしっこ: おしっこは、植物または土への直接の影響はほとんどありません。研究からも、おしっこが人間の健康をほとんど脅かさないことがわかっています。しかし、おしっこのにおいはその場にかぐわしい香りを発生させ、動物たちはおしっこから生まれる塩分を採ろうと、地面を足先でかきまわし、植物の葉をむしりとります。そのために、できるだけキャンプ場所から遠ざかって、岩場あるいは砂地でおしっこをしてください。
トイレットペーパー、および生理用品: 着色料や香料を使用していないトイレットペーパーを、控えめに使いましょう。トイレットペーパーは、正しく適切に処理されなければいけません。実は、そうすることは非常に単純で、ほとんど努力を必要としません。その良い方法は、においを漏らさないビニール袋を2重にして、その中に入れることです。トイレットペーパーあるいは使用された生理用品を土に埋めることは、その分解速度が遅いことと、動物がまずそれを掘り出すだろうということから決して認められません。トイレットペーパーを燃やすべきでもありません。なぜならば、それが燃え尽きることはまずもってなく、火事の危険もでてくるからです。
あなたが別の方法を試す気があるのならば、自然にあるものを利用することを考えてみましょう。普通考えられる物として、清潔な石やなめらかな木ぎれ、そして雪などがあげられます。当然、あなたが実際にそれを使おうとすれば、いくらかの練習が必要です。しかし、やる価値はあります。
手洗いや食器洗いの排水を極力減らしましょう。
少しの力仕事と熱いお湯があれば、ほとんどの僻地で物を洗うことができます。お皿洗いに石鹸はまず使いません。徹底的にすすぐことが難しくなるからです。汚水を捨てる前に、残飯やかすを取り除いて(小さなこし器はそれをするのによい道具です)、食べ残しや他のごみといっしょに持ち帰りましょう。汚水はキャンプ場所およびすべての水場から遠い場所に、広範囲にばらまかれるべきです。
入浴するのに石鹸を使わなければいけない場合は、できるだけ控え目に使用してください。地面の上で直接ぬらして洗ってすすぐためには、折り畳み式の入れ物かポットを使って水を運び、水場から200フィート(約60m)離れてください。これをすることで、汚水が大地のフィルターを通り、人体に届くまでに石鹸を分解してくれます。衣服は水ですすぐことで清潔を保てます。下着は、水場から離れて洗ってください。
池や小川の多くは、設営されたキャンプ地や避難所および小屋のための臨時の水源として役立っていますし、近くの町や居住者のための貯水池として存在しているかもしれません。これらの水域では、まず水泳は禁止されています。あなたが飲料水として、また料理に必要な場合にのみ、これらの水源を大切に使ってください。
魚釣りと狩猟から出る内蔵などの汚物は、小道や水場から離れたところに処分しましょう。
魚や動物などの内蔵は、一方では生態系の一部として自然な姿なのですが、それが不適当に放置されれば、大変見苦しいものになります。魚と動物の内臓を処分するという最終目標は、美観の損失を防ぎ、それらをあさる野生生物と人間との遭遇の機会を減らすことにあります。遠隔の地域あるいはほとんど人が踏み入れていないような場所では、それらが自然に分解されやすい場所か、動物や鳥によってすぐにでも食べ尽くされてしまいそうな、小道やキャンプ地および水場から遠く離れたところにそれらを放置してください。人がよく行く場所に行ったり、その日だけ出向いたりする場合は、事前に家で魚の内蔵を取り出しておく等の配慮をしてください。湖に捨てられた内蔵は湖岸にうち寄せられ、それは、そのにおいに引き寄せられる熊にのみ歓迎されます。湖や川に捨てられた魚の内蔵などは、海まで流れ着いて海岸に打ち寄せられることがよくあります。だから、熊を引きつけるかもしれない臭いを出さないことが大切ならば、それは、その元になる地域で正しい処置を実行することが大切なのです。
クマの生息地域では食料とその匂いに気を付けましょう。
アメリカ北東部のほとんどの僻地地域では、Black
Beare(アメリカクロクマ)との遭遇の可能性があります。クマについて記述された情報を読み、クマについて良く知っている地域の管理者と話をすることは必要不可欠です。
クマは、その持っている潜在的な性質から大変脅威的な動物です。しかし、日常的な経験からは、アライグマ、スカンク、リス、シマリスやハツカネズミのようによく見る動物たちの方が、僻地においては我々の生活にはるかに大きな影響を及ぼします。食物を正しい方法で収納することで、あなたの食糧および装備、そして全ての野生生物の自然な習性や習慣を守ってください。アライグマに困っているならば、クマにする処置と同じように食糧を掛け据えましょう。他の動物については、食糧を枝や幹から離して、地面から数フィート(1m以上)空けて吊しましょう。そして、常にキャンプ場所を清潔に維持しましょう。動物たちを“迷惑な存在”にしているのは私たちなのです。
クマの生息地域において、キャンプをいかに構成するか、いかに清潔に保つかは、ますます高まってきた重要課題です。その場所が安全であるということは、クマと人間双方にとって最も大切です。アメリカクロクマは内気で、通常は人々から遠ざかって行動することを好みますが、もし人間に脅かされたり、または人間を恐れなくなったりすれば、クマは非常に危険な動物になり得ます。個人の安全は最優先事項です。しかし、クマの安全もさらに重要です。一度でも人間になれてしまうと(通常、食糧がその媒体を果たすのだが)、急速にクマ問題に発展していき、さらには何かの事件が起こってしまうでしょう。そして、最後には彼らの命を奪うことになってしまうのです。
そこにクマがいるならば、これから言うことに注意深く従ってください。偶然クマに出会ったら、そのことをまずしかるべき野生生物管理局、あるいは土地管理事務所に報告しましょう。
足跡、糞、爪痕、堀り跡のようなクマのサインに注意しましょう。
クマの存在を身近に感じたならば、別のキャンプ場所へ移動することは最良の方法です。
どんな野生生物からも、手も出せず興味も引かれないように食糧を格納してください。乾燥させてカンに入っているゴミや、タバコ、ペットフード、香りの付いた化粧用品などの品々も例外ではありません。臭いを逃がさないために2重のビニール袋に入れることは大変効果的です。どんな事情があっても、使用済みトイレットペーパーや生理用品は、個人のバッグに入れておくか、寝場所の近くに片づけられているべきです。
皆に広く知られている方法は、地面から少なくとも10〜12フィート(約3〜3m半)、木の幹から5フィート(約1m50cm)離して吊す方法です。もし、地域情報紙で、更に距離を開けるように勧められているならば、そうしなければいけません。その目的は、俊敏で時には大変活動的なクマが食糧を嗅ぎつけ、それを見つけることから守ることなのです。しかしながら、たとえ食糧をその通りに吊したとしても、クマはそれに手が届くかも知れません。
軽く、そしてクマに対しても丈夫な入れ物は、新しい装備として期待されています。その土地にあった方法を知るために、地域管理者やスポーツ用品店から情報を集めましょう。
調理場所や食糧は、テント、小道や他のキャンプ場所、および野外トイレ小屋または避難所のような設備から少なくとも100フィート(約30m)離れた風下に設置しなさい。そうすることで、何かが起こっても、あなたがその状況を監視することが可能になるでしょう。しかしそれは、安全な距離があっての話です。あなたが吊すのに必要なロープや機材を持っているか、また、完璧に吊し上げることができるかを確認するためにも、家でそれを吊す練習をしてください。
ベーコンやツナ(マグロ)のように、クマが引き寄せられる臭いのきつい食糧は避けなさい。残飯は強い匂いを放つので、2重になったビニール袋の中に密閉され、食品と一緒に吊されるか格納されるかするべきです。調理場所はいつも清潔にしておいてください。
食糧はテントへ入れてはいけません。衣服に食べ物の臭いを付けないようにしてください。また料理中に衣服で手を拭わないように、着ている衣服に食材を入れないようにしましょう。
お皿を洗った後の灰色に汚れた水を受けるために、汚水だめの穴を使ってください。これは「猫の穴」と同様に、使用の後に土をかぶせて埋められる穴です。汚水だめの穴で、調理場所で集めた汚水と、食べ物などから出る臭いをそこに集中させることができます。広範囲にそれらをまき散らすよりむしろ効果的な方法です。
目次
自然の中で自然のままの姿を楽しむために、人々は荒野を訪れます。あなたが見つけた植物や鉱石、歴史的で文化的な考古学上の人工品に手を触れないことで、あなたが感じたと同じ発見の喜びを次に続く人に残すことができます。すべての人間は、他のものへの社会的な環境破壊を予想し減少させるという責任と、荒野の自然環境とそこに生育する動物たちに対して思いやりをもって接するという責任をもっているのです。
キャンプ場所の変更はできるだけひかえましょう。
よいキャンプ地は見つけられるもので、決して造られるものではないのだということは知っておかなくてはいけません。その場所を良い状態のままにそっとしておくか、あるいはあなたがそこを見つけたときと同じ自然な状態で立ち去るようにするかしてください。決して、小屋やテーブル、椅子あるいは他の何かを造るなどといったことをしてはいけません。もし、これら便利で快適な道具が欲しいと思うならば、軽量のキャンプ用の椅子を持っていくか、あるいはテント用の基礎もしくは避難所や山小屋を備えたキャンプ場であなたの1泊を計画してください。もしあなたが、その場に不適当なほどの大きなたき火用のかまどや、ベンチやテーブルなどをキャンプ場所で見つけたならば、それらをばらばらに片付けてそこをきれいにするということはある意味当然のことです。判断に困る場合は、行動を起こす前にそこの管理事務所か地主に尋ねてください。
火の使用を許可されたキャンプ場に正しく据え付けられているかまどは、次に来る人たちのために、完全に整えられておかれるべきです。もし使用できない状態になっていたら、それらはおそらく更なる環境破壊を伴いながら造り直されることになります。
木や植物にダメージを与えないようにしましょう。
これまで提唱されていたいくつかの僻地キャンプの技術は、もはや必要でなくなっています。これは、荒野への介入が増加したことと、それがおこす自然破壊についての我々の更なる理解が広がったこと、および新しくよりよい設備の開発が進んだためにおこりました。青葉に与えるダメージを防ぐためにも、若木の幹を締め付けてしまわないように、テントの張り綱にカバーをかけてください。寝場所や避難場所を作るためにに大枝を使うよりむしろ、安価な敷物かプラスチックシートを使用してください。木に釘を打ち込んだり、手斧やノコギリで木を傷付けたりしてはいけません。
花、葉っぱ、食用の木の実あるいは植物を摘んでいる人たちは、無害に見えるかもしれません。しかし、そのような人たちの行為が累積されると、植物に大変な被害を与えてしまいます。我々が今までどれだけの量を摘み取ってしまったかは定かではありません。人がよく行く荒野や簡単に出向くことができる荒野などでな、花と植物は観賞するだけにし、家に持ち帰るものは、写真と絵と記憶だけにとどめましょう。僻地では、いくらかの木の実や野草を標本として採取したり、少数の葉を集めたりすることはよくあることかもしれませんが、それらが数少なくなっていたり、植物に対してひどい扱いをしてしまいそうな高山植物地域では、そのような行為をしてはいけません。花々や木々やアメリカ北東部の森の色は、私たちがそれらを目にする場所場所で、私たちを楽しませてくれます。
自然および文化遺産を残しましょう。
枝角や鉱物の水晶のような、美しくそして興味深い自然の創造物は、次の人たちもそれを発見し楽しむことができるように、そのままにしておかれるべきです。国定公園や他のいくつかの地域では、許可無く自然物を持ち去ってしまうことは違法行為にあたります。
考古学的な美術品、文化的および歴史的な人工物は、私たちの国家の歴史を語る重要な遺産です。いくつかの美術工芸品は、それが位置している場所でアメリカインディアンを祭っており、他のいくつかは、歴史家の我々への歴史的解釈を助ける過去の手がかりを含んでいるかも知れません。
公有地上におけるこれらの資源は、1979年の考古学資源保護活動(Archaeological
Resources Protection Act)および1966年の全国歴史的資産保護活動(National
Historic Protection Act)によって保護されています。これら農場や木工具、地下室、石壁、墓噤A基礎建造物などの遺産は、いかなるものでも、発掘したり、壊したり、持ち帰ったりすることは法律で禁止されています。これらの法律は、公共であろうと私物であろうと、全ての土地で適応されるべき倫理を作り上げます。遺跡に損害を与えてしまうということは、その風景から存在を取り除き、大切な歴史的物語から遺跡の持つ1章を奪ってしまうということなのです。
野生生物の生活を脅かさないようにしましょう。
静かに行動し、野生生物が身の安全を感じるために必要なスペースを彼らに与えましょう。動物たちをむやみに追い払ったり、追いかけたり、食べ物を与えておびき寄せたりすることは、彼らの持つ潜在的な能力を危険にさらしてしまいます。巣や寝ぐら、又はその他の彼らにとって大切な地域を避けましょう。冬季または食糧不足の時のような環境ストレスの中では、人間の妨害により、彼らは生息地や営巣地の放棄を引き起こすかもしれません。一見「みなしご」の様な幼い動物たちも、全てにおいて見放されているわけではなく、逆にそれらを排除したり干渉したりすると、時には取り返しの付かない害を与えてしまうことにもなります。クマ、オオジカ、アライグマや他の動物たちは、私たちの行動が彼らを刺激し、彼らが危険だと感じ怯えた時に獰猛になるということを忘れてはいけません。野生動物をさわったり抱え上げたりすることは、二重の危険を伴います。それは、さわられた動物が過度なストレスにさらされることと、たとえ人間の接近を許しても、時に凶暴になったり、また恐ろしい疫病をはやらせたりしてしまうからです。遠くから写真を撮りましょう。観察を楽しみましょう。野生動物を野生に保つためのあなたの役目を果たしましょう。
他の旅行客への配慮を忘れてはいけません。ふつう、僻地を訪れる人たちは、他のハイカーおよびキャンパーに友好的でかつ社交的です。しかし、その人たちはみな、自分なりの社会観をもち、一定レベルの孤独感を欲しています。避難小屋やキャンプ場の周りでは、お互いにその日に起こった出来事を共有し、大雨の中の居心地の良い場所が与えてくれる友情を楽しみましょう。だたし、お互いに相手の調理や就寝の場所に配慮し、良い眠りにつけるよう尊重し合わなければいけません。
ポータブルラジオやテーププレーヤーは、周りの人や野生生物にとって大変な迷惑です。
携帯電話やGPS装置(衛星位置追尾システム)のような便利な道具は、たくさんの人々の貴重な僻地経験を台無しにしてしまいます。もしあなたがそれらを使おうとするならば、それがあなたが求めている僻地経験に本当に有効なのか、求めているものを失うことになりはしないのか、それをしっかり考えながら、慎重に使うようにしてください。
ペットを連れてこようとするならば、その地域のやり方をチェックして、いかなる時も首輪をつないで、あなたの管理下で責任を持ってください。行儀よい犬はすばらしいパートナーです。しかし、騒々しい犬は、野生生物や他の旅行客を怖がらせたり、あちこち掘り散らかしたり、糞をまき散らしたりして周りに多大な迷惑をかけてしまいます。ペットは、私たちとよく似ており、未成熟で、荒れた土地に対する心構えができておらず、我慢ができないものなのです。どの見地から考えても、ペットを家に置いて行くということが賢明な判断なのです。
私有地においては。アメリカ北東部の、僻地旅行者が訪れる観光ポイントやその地域の多くは個人所有地です。それらの場所を認識する努力をしてください。自分の土地に入り込んだ見ず知らずの人を想像しながら、そこを横切りましょう。道路や他の旅行手段の邪魔にならない適切な位置に、あなたの車を駐車してください。騒音と存在をできるだけ押さえて、周囲のゴミを拾いあげて、良い状態のままその場所や小道を維持していけるようにあなたのすべきことをしてください。それぞれの地主は、不注意な問題事が生じないように、道行く人に警告し、そして従ってもらうべく、特定の約束事を提示するでしょう。地主や土地管理者のお願いを無視すると、全ての人がそこを訪れることができなくなってしまいます。
目次
キャンプファイヤーによる影響は、荒野において最も一般的で明白な、行楽的自然破壊です。アメリカ北東部の僻地地域では、キャンプファイヤーは通常受け入れられてはいません。また、高山植物帯のいかなる地域においても、火は起こされるべきではありません。僻地旅行者は常に、保温用具、簡易テント、懐中電灯、そして全ての調理に必要な軽量の野外コンロ等の適切な装備を持ち運ぶべきです。
僻地における昔ながらのキャンプのスタイルに反するこの方法は、行楽地における火の使い過ぎや森の乱用によって発生した生態学かつ審美的な問題から生まれました。これらの人為的な自然破壊が積み重なってきたために、土地管理者や土地所有者は、あちこちでキャンプファイヤーの使用を禁止しました。唯一、火の使用を考慮して作られたキャンプ場で、尚かつ使用を許可された場所でのみ、火の使用が許されています。
しかしながら、緊急の事態が起こったり、依然火の使用が許されている場所にいたりすると、火をおこさなければならなかったり、火をおこそうとしたりする場合もでてきます。これから述べる技術は、あなたが火をおこすときに、「Leave
No Trace(跡を残さない)」を実現させる手助けとなるでしょう。
アメリカ東北部の人間が頻繁に訪れる荒野では、火は必要なときにのみ使われる道具として見るべきだし、決して気ままに使われるべきではないと言うことは忘れてはいけません。
火の使用制限について十分理解して、常に携帯コンロを持ち運びましょう。
過度に使用されて自然破壊が進んでいるような場合や、乾燥した季節で山火事の危険が高い場所などの環境に敏感な場所では、火の使用はしばしば禁止されます。火が燃えている時の風は、さらに危険性を増します。森の中に火床があったり、立木や倒木の枝が引きちぎられていたりする様な、火を使いすぎた形跡が残っている場所では、火を起こすべきではありません。光を得るための懐中電灯やロウソクのランタン、調理するための携帯コンロを持ち運ぶことを計画に加えましょう。
火を小さくして安全を保ちましょう。
あなたが火を使う場合、環境破壊を防ぐ方法を絶えず意識して行動してください。
キャンプ場所から離れていて、地面に豊富に朽ちた倒木がある場所でのみ、キャンプファイヤーは許可されています。少し時間をかけてキャンプ場所から離れて、広範囲に歩き回って、倒木を拾い集めましょう。大人の手首よりも細い木を使うと、木は完全に燃え尽きて後の掃除も簡単になります。それが生木であっても枯れ木であっても、枝を折ったり皮を剥いだりしてはいけません。それをしてしまうと、たくさんの人が求めてやまない荒野独特の感覚を喪失させ、切り株や枝のない木々のような傷跡を残してしまいます。
注意して火をおこし、食事をしましょう。一度火がおこったら、必要な長さに木を手折って使ってください。常に火の近くに、シャベルか水などを用意しておきましょう。
丈夫で固い地面を使いましょう。火の熱や炎は、環境に強い衝撃を与えますし、人間が調理などで周りを歩き回ることでも、衝撃を引き起こしてしまいます。
火がもたらす衝撃を最小限に抑えるために、非常に小さな炭や灰になるまで燃やし尽くされるべきです。全ての火は、そこを去る前に完全に消されて跡形もなく整えられていなくてはいけません。小さなゴミまで取り除き、使っていない木があったならば、それは森の中にまきましょう。かまどが灰で一杯になっていたら、肺が十分に冷えたのを確認して、キャンプ場所から遠ざかった場所に広範囲にまき散らすよう配慮をしてください。それらは森の土に混ざり、いかにも自然な山火の跡に見えるでしょう。
跡を残しにくい火床の場所を探しましょう。
設備されているキャンプ場では、既存のかまど使用してください。そうすることで、火がもたらす衝撃をその場に限定し、周りの環境を自然な状態に保つことができます。新しいかまどを造ったり、巨石又は岩陰で火をおこしたりすることは、石を黒く変色させたり地面を破壊したりするので良くありません。あなたが、しっかりしたかまどのない場所で火を使おうとするならば、これから述べるような大切な「Leave
No Trace」の技術を学び、それを身に付けることへの責任を負わなければなりません。
携帯用火鍋(Portable Fire Pans): 火鍋とは、木を入れ灰を蓄えるのに十分な深さ(約7センチ以上)をもった金属トレー(お盆)です。それらは、水上輸送業者によって最初に使用され、バックパッカー(歩行旅行者)とホースパッカー(乗馬旅行者)に愛用されています。廃油を受ける金属の入れ物や家庭用バーベキュー・グリルは、安価な火鍋として役に立ちますし、いくつかの野外関係の会社は、軽くした品物を開発しています。鍋は無機質な土を数インチ(約10cm)盛り上げた上に置かれるか、小さな岩の上に置かれて地面を火の熱から守るべきです。
塚火(Mound Fires): 有機物がほとんど含まれていないか、または有機的な分解が全く行われないような鉱物質の土で作られた平たい盛り上がりは、火鍋として使うことができて、後の片づけも簡単です。最初に、木が根こそぎ倒れてできた穴等の、鉱物質の土や砂利が自然に現れている様なところや、堤防に沿って粒のそろった小石や砂が敷きつめられている、大きな溝等を見つけましょう。火を使う場所へ土を運ぶために、深目の入れ物か袋を使用してください。
鉱物質の土を使って、高さ6〜8インチ(約15〜20cm)、直径約2フィート(約60cm)の円形で丈夫が平らな火床(噤jを作りましょう。その場を片づける時のために、防水布かシートを火床の下に敷くと良いでしょう。火が消えて火床が冷えたら、残った灰を広範囲に巻き散らし、使った土を元の場所へ戻して、使った跡が分からないように表面をならしておきましょう。
この様な火の扱い方の利点は、地面に被害を与えることなしに、岩の上や落ち葉や松葉などが落ちている植生のない土の上でも、火をおこすことができるということです。しかしながら、鉱物質の土を移動しなければならないので、それは火鍋を使う方法ほど望ましくはありません。また、そのような場所を見つけることが難しい時もあります。
穴火(Pit Fires): 過去、火床用に芝土を掘って作った穴は、自然に易しい環境保護の技術として推薦されていました。しかしながら、注意深く水を注いで穴をふさいだとしても、火によって破壊された痕跡が元に戻るにはたくさんの時間を必要とします。もはや、穴火技術は使われるべきではないのです。
自分の経験から、アメリカの野外活動マニュアルを日本語で表現してみました。自分でも意味不明な部分はたくさんあるのですが、ミニマムインパクトキャンプのイメージはつかめたような気がします。
仲間内でのミニマムインパクトキャンプの指導資料として使ってもらえたら幸いです。
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