子ども用カヌーの制作


 子どもたちと一緒にカヌーを作り、そのカヌーで自然に飛び出せたらどんなに素敵かなと思って、今回のカヌーの制作を始めました。今回でカヌーの制作は4艇目になりますが、子どもたちと作ることを一つの目的としているために、制作を複雑にしないことがクリアしなければいけない課題でした。
 でも、そのおかげで、割と手軽に取り組めるハンドメイドカヌーを紹介することができます。興味のある方は、是非一度取り組んでみてください。

   ○ 設計図 

   ○ 材料と予算

   ○ ベニアで型取り

   ○ 使用する道具

   ○ 制作過程

   ○ FRP加工

   ○ パドルの製作

    プールで試乗会


設計図

子ども用2人用かヌー : 縮尺1/20

部品のアウトラインです。

 イメージとしては、ちょっと小振りなカヌーという感じです。制作を単純にするために、合板2枚で全長をとれる長さ:3m45cmにしました。幅は80cm、喫水までの深さは45cmです。

画像は随分落としています。詳しく知りたい方はメールしてください。

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材料と予算

材    料 個 数 単 価 金  額
JAS コンパネ   960  1,920
2.5m ラワンベニア   360  1,440
9m ラワンベニア   700    700
真鍮釘 16mm 1箱   500    500
木工用頭平ネジ 2.2×8mm 20袋    60  1,200
木工用頭平ネジ 4×26mm 5袋    90    450
木工用ボンド1g     900      900
FRPシート 7m   800  5,600
非飽和プラスティック4g缶 6,000 12,000
硬化剤   900    900
洗浄剤   900  1,800
合  計 27,410

 ただし、これには安売りをねらっていった値段もありますし、消費税も含まれていません。参考までにと言った値段です。ちなみに、すべての材料は、地元の家庭用品店「ナフコ」で揃えました。

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ベニアで型取り

 一度に数艇の量産を計画していたので、まずは材料以外のベニアを使ってパーツの型取りをしました。これさえあれば、面倒くさい図面をその都度引かなくても、トレースするだけで部品がとれます。

  

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使用する道具

画像で見るとおり、特別な道具は使っていません。すべて家庭用の日曜大工ツールです。

  

 道具の中で重宝したのが、ベニアで曲線も切れる電動ジグソーでした。作業効率がぐんとはかどります。ベニアの面切りができる手引き鋸もNiceグッズでした。小・中の万力は100円ショップで購入しました。サンダーはFRPなどの加工時に必要になります。ガラス繊維のバリ取りに欠かせません。後必ず必要なのが、小さめのカンナです。船体表面の仕上げに必要です。FRP加工時には、ゴーグルと防塵マスクがお勧めです。どちらも家庭用品店で安く手に入ります。

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制作過程

1 パーツの切り抜き

 12mコンパネにパーツを型取りします。ほとんどの部品が、コンパネから切り出されます。電動ジグソーで切ると、切断面にバリがでてくるので、これをカンナやサンドペーパーできれいに面取りします。

2 両端部(バウ、スタン)組み立て

 画像はすでに側面も張った状態ですが、この骨組み部分の組み立てとなります。木工用ボンドと木ねじで組み立てます。

3 中央部組み立て

 画像のように、中央部で側面ベニア、底ベニアをつなげるため、中央のパーツに画像のような処置をします。ここには、5.5mmの」ベニアを使います。

4 骨組み組み立て並びに、底板取り付け

 2.5mmのラワンベニアを、万力を使って少しずつ骨組みに張っていきます。先端部は7cm幅で切り込みを入れて、曲面に合わせて張り合わせていくので、中央部の張り合わせを待って作業に取りかかるようにすることがコツです。
 先端部のすき間は、2.5mmベニアを細く切って埋めます。2枚の合板を張るのに4日はかけましょう。

5 側板の取り付け

 底板を骨組みに合わせてカンナで整えて、側板を張っていきます。ボンドと木ねじでしっかり張り合わせます。この部分は1日でできるところですが、はみ出したボンドはしめらせたぞうきんでその都度拭き取ります。

6 仕上げ

 張り合わせた2.5mmラワンベニアのバリをカンナで整えていきます。内側にでている木ねじの先をヤスリで落として、全体にサンドペーパーをかけて組み立ての仕上げです。
 無事できあがりました。

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FRP加工

 木の船体で完成のようですが、実は完成にはこのFRP加工が欠かせません。この加工で使用に耐えうる強度を確保し、水漏れや浸水を防ぎます。専門的な知識や技術もある程度必要ですが、慣れれば結構簡単に加工することができます。FRP加工をした船体は、損傷した場合の修理も割と簡単です。

1 準備

 洗浄に有機溶剤を使うので、換気は大切です。風通しのよい暖かい場所を選びます。暖かいと言ってもこれも程度があり、汗ばむくらいの暖かさだと樹脂がすぐに硬化を始めてしまいますので、22℃前後がいいでしょう。硬化速度は硬化剤の割合で調節できます。
 垂れた樹脂は固まったらとれませんので、室内でするのならば新聞紙をこれでもか!と思うくらい敷き詰めます。

 ・FRP樹脂 : 4g缶2つ
 ・硬化剤 : 100cc
 ・紙コップ : FRP樹脂を200ccずつ小分けにする。
 ・シリンダー(20cc注射器の本体) : 硬化剤の量を計る。
 ・フィルムケース : 硬化剤を小分けにする。
 ・はけ : 100円ショップで購入
 ・深めのタッパー : 樹脂と硬化剤を混ぜ合わせる容器
 ・ヘラ : 樹脂と硬化剤を混ぜ合わせる(プラスティックがベスト)
 ・有機溶剤を入れるケース
 ・グラスファイバー(ガラス繊維) : 7m
 ・温度計 

2 樹脂の用意

 まず樹脂を200ccとって容器に入れ、これに硬化剤を混ぜます。硬化剤の量が大切です。マニュアルには樹脂100に硬化剤1とありますが、それだと硬化時間が早いので7割程度に減らすのがポイントでした。それでも、1時間後にはサンダーがかけられるくらいの堅さになります。
 ヘラを使って素早く均一に混ぜ合わせます。

3 グラスファイバーの張り付け

 いよいよ船体に加工をしていくわけですが、まず船体の汚れを有機溶剤で拭き取ります。これで樹脂の食いつきがよくなり、硬化後のはがれがなくなります。
 グラスファイバーを大きめに切り取って準備しておき、船体に樹脂を一層塗ります。乾ききる前に樹脂を重ねると、空気が入ることなく上手に張り付けることができます。
 二層目の樹脂をグラスファイバーの上から塗り込みます。空気が入らないように中央からのばすのがよいようです。
 全体に張り終えたら、多少張りムラがあってもそのまま硬化させます。半分硬化したときに余分なファイバーシートをカッターナイフなどで切り落としておくと次の日の作業がしやすくなります。

4 船体内部の塗装

 サンダーで硬化した樹脂のバリを落として、内部の樹脂塗装にかかります。内部にはファイバー繊維は張らないので、すき間を残さないように樹脂でコーティングしていきます。2度塗り以上していくと、表面に輝きがでてきます。

5 仕上げ

 さあ仕上げです。
 表面を手で触れて、ちくりとした感触があったらすべてサンダーで削り落とします。サンダーの跡はサンドペーパーでならして、表面をきれいに仕上げます。
 できあがりました。

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パドルの製作

 パドルはあまった5.5mmのベニアを重ねて作りました。そのあいだに2.5mのベニアを挟んでブレードにし、プレスをかけます。取っ手の部分をサンダーで削って形を整えます。合板の木目がきれいで気に入りました。
 樹脂で全体をコーティングします。

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プールで試乗会

 できあがったカヌーは、思った以上に曲線もきれいで合板で作ったとは思えないくらいの仕上がりでした。子どもたちも大喜びです。
 さあプールでの試乗会です。

  

おそるおそるこぎ出したカヌーも、慣れればすーいすい。
この後、転覆する練習もして、さあ次は中山湖に出かけます。


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